意味の迷いを統合するテクニック〜「クローバー」と「こうのとり」

17番こうのとり&2番クローバー-ナオミ・ノアのルノルマン占い講座

2番「クローバー」と17番「こうのとり」

えーと、 幸運と出産?幸運な移住?え?

ルノルマン占いに限らず、カードや象徴の意味をつなげても、よくわからないコンビネーションというのが、どうしてもあります。

フランスやアメリカの書籍で、コンビネーションの各組み合わせの意味がざっと載っているものはありますが、あくまで「そういう意味に読むことができる(場合がある)」という参考に過ぎないことが多いかと思います。

それはそうです。ルノルマンカード36枚の組み合わせは、左右(1枚目か2枚目か)を無視しても630通りあるのですから、それぞれのコンビネーションを万能レベルに解説していたら300ページ級の本が何巻も必要になってしまいます。仮にそんな本があったとして、占いのたびに首っ引きしていたらまたいつになったら解釈に自信が持てるようになるかわかりません。

ですので、わたしは通信講座やこのブログで、コンビネーションの「コツ」に力を入れて解説しています。

どっちの意味を取ればいいのかわからない時がある

「コツ」というのは、うまくできるようになる近道であると同時に、問題解決の(時には唯一の)道でもあったりします。

例えば、大きな意味あいが二本柱のようにドンとそびえ立っているカードの場合などは、「どちらの意味をとるべきか」で迷うという壁に誰しもぶつかります。こういう時、頭を切り替えたり、ひとひねりするなどのテクニックが必要になることがあります。
今回の、17番「こうのとり」のように。

「こうのとり」は出産育児?移住?

このカードには確かに、大きな意味合いとして2つの柱が考えられます。赤ちゃんを運んでくるシンボルともなっている鳥として、子供の誕生と育み、つがいで協力しあうことがひとつ。

またもうひとつ、実際のこうのとりの習性と考えられている「渡り」があります。そこから、夫婦が核家族のように独立して新天地に旅立ったり、季節に応じて居住地を行き来したりする意味が人間にも当てはめて解釈されます。ほかのカードになかなかない意味であることからも、こちらも「こうのとり」の特徴的な意味として重要視されます。

では、「クローバー」と一緒に出た「こうのとり」を、どちらの意味にとるべきでしょうか。

コンビネーションリーディングの基本のひとつは、一緒に出たカードとの結びつきの中で解釈することです。が、その前に、占っている質問内容との関連で解釈することも基本中の基本です。その辺までは、ルノルマン占いやカード占いを学びたての初心者の方でも、独学で占いをしている方でも、だいたい思いつくことでもあります。

例えば、占い内容との関連でいえば、転職すべきかとか、引越しすべきかで占っている時なら、「こうのとり」はそのものズバリ、職場や住処を変えることをすぐに連想させます。

でも、そこで、「じゃあ、本当に出産は関係ないと思っていいの?」と疑問を感じたあなた、鋭いです。勘だけでポンポン答えていく「人間おみくじ」のような占いではなく、相談者の問題に深く切り込んで解決に導ける占い師に向いています。

一見、関係なさそうな2つの意味の関係

さっきの占い内容の例で、もう少し掘り下げてみましょう。

例えば。
あなたは転職は考えていなくて、結婚の流れになっている相手がいて、でもまだ婚約には至っていないとします。占いの直接の内容は、
「今の賃貸マンションは勤め先から遠いので、引越しすべきか」
だとします。
そんな時に、占いで「こうのとり」が出たとします。そして、不穏なカードや否定的なカードが出ていないとします。

単純に、引っ越すべきかで「こうのとり」である(+足を引っ張るカードが出てない)以上、変にひねらず「ズバリ引っ越す」と考えてまず間違いはないと思います。

ただ、あなたが相談者だったとして、そこですべて解決するでしょうか。

引っ越すとして、どこに?

仕事のためだけに引っ越すべきなら、例えば、「きつね 」とか、交通の便や時短に繋がる「騎士」とか、「なるほどこれは自分の仕事先だな」と思える具体的なカードが出るでしょう。

でも、例えば、「子供」が一緒に出たら、子供関連の仕事でない限り、いいカードであるにもかかわらず「本当に仕事のため?子供って何?」となりますよね。

「子供」と「こうのとり」なら、仕事関連の引っ越しを占っていても、妊娠出産の伝統的な意味が浮上して、なかなか無視できなくなります。
「え、もしかして、仕事より結婚を優先して引っ越すってこと?」
という発想が生まれてきます。これは自然な解釈の流れです。

もしかしたら男性の方など特に、「仕事+引っ越しで占ったのだから、あくまでその中で答えを探すべきだ」と思われる方もおられるかもしれません。

確かにこれがファイナンスのジャンルとか、具体的な中でも本当に詳細なところでの占いなら、プライベートなことにまで考えを広げる必要はないでしょう。

でも、引っ越しって、そもそも、仕事とプライベート両方に関わることです。そして、人生の大きな決断です。仕事がきっかけで思いついたからといって、「引っ越すなら仕事のためだけに引っ越さなければならない、そうじゃないなら引っ越すべきでない」なんて決まりはどこにもありません。それこそ思いつき・思い込みに過ぎません。

占いというのは、非科学的であることが弱みに思われがちですけど、感情や恋愛や楽しみや幸福、信念や人生観や運命、その時々の人の絆や、理屈で決められない取捨選択に寄り添うがゆえの「必要なあいまいさ」があるのが強みなのです。

「クローバー」という抽象的なカードで少し迷う

「きつね 」なら仕事、「子供」ならもしかしたら結婚生活も考えるべきかも、と、方向性がわかりやすいですね。

でも、「クローバー」だと、どうでしょう。

通常、「クローバー」は、おまけ的に「ラッキー度アップ!」くらいの解釈で済ませてしまいがちな、というか、それ以上に「ふくらませ」にくい、悩ましいカードでもあります。

別に問題なしという意味では、詳しい解釈をスルーしても影響なさそうだとはいえます。

例えていえば、仕事のプロジェクトに、技能的に平均的なレベルで「ただ明るい性格が取り柄の人」がメンバーとして加わった感じです。問題はまったく感じられない代わりに、プロジェクトの成功にもあまり関わりそうな気がしません。

現実の仕事のメンバーなら、「頭数」のためにそういう無難な人が1人くらいいても普通ですけど、占いのカードで、大事な「席」に、「一応ラッキー!」くらいの意味でカードが出るでしょうか。それを、「ほかに特に重要なメッセージはないみたいね」と解釈してもいいのでしょうか。

そして、「こうのとり」のようなカードの横に出た時、「幸運」と解釈するにしても、「仕事のための引っ越しにちょうど良い時期」という風につなげていいのか、「あえて幸運というなら、仕事よりも目先の幸福である結婚・出産」につなげていいのか、迷う局面になってもおかしくはありません。

占い内容が「仕事」前提ですから、そのまま「勤め先に近いのを望んでたんでしょ?引っ越していいよ、今ならちょうどいい物件があるよ」と解釈するのもまったく問題はなさそうです。

でも、じゃあ、「こうのとり」の意味のもうひとつの重要な柱である、結婚・出産・子育てといった意味は本当に無視していいのでしょうか。と、あなたがもし「気になった」としたら、もう、そこには何かがあるのです。だって、占い内容の前提となっている現状に、ちゃんと結婚の可能性が関わっているのですから。

迷いを裏づける禁断の疑問を言っちゃいましょうか

カード占いで、項目別に1枚引きすることならわたしも時々あって、その場合、占いの大きな枠組みと、各項目の内容が、出た1枚のカードと最も強い関連を持ちます。

例えば、引っ越す・引っ越さずに車を買う・引っ越さずに電車通勤を続ける、の三択で1枚ずつ出したとします(こういう三択は、重要な問題では実際はあまりしませんが、もう少し小さい問題ならよくやります)。

そこで「引っ越す」に「こうのとり」が出て、ほかの選択肢にそれぞれ「ねずみ」「棺」が出たとしたら、ほとんど迷うことはないかもしれません(車は金食い虫で、長距離の電車通勤は身体を壊しそう)。

でも、ほかの選択肢にもいいカードが出たら迷いませんか?

太陽とか鍵とか指輪とかがほかに出たら?
そんな時、

そもそも「引っ越し」で「こうのとり」って、そのまんまだよね。

って、思う人。もしも初心者だとしたら、なかなか鋭いです。

引っ越しの占いだから「こうのとり」は引っ越しの意味に決まっている、というのは、ある意味で正しいのですが、場合によっては、「そのまますぎる」のです。

「そのまますぎるカードって、結局、良いのか悪いのかわからなくない?」

これが、「禁断の疑問」です。

これをひとりで考え始めると、有意義な時を過ごせますが、寝不足になります。この疑問を持てる人は、とてもいい占い師になれるとわたしは信じています。ただ、同時に、このまま解決しないと、迷いが増えます。

ですから、今ここで、解決法を書いてしまいますね。

正当な「禁断の疑問」の、正当な解決法

お待たせしました。今回のすべての疑問の解決編です。
もちろん、「2つの大きな意味のどっちをとればいいか」の解決編でもあります。

迷った時も、もの足りない時も、根本に還る!

例えば「こうのとり」。

移住(場合によっては転職)というアクションを表すのか、出産子育て(子供に限らず何かを生み出す・育む)の価値観を表すのか、と、言葉にしてしまうと迷いがちです。

でも、どちらの意味も、コウノトリ(Cigogne)という鳥から派生しているのです。ルノルマン婦人がトランプにメモしたのか、後世の誰かが独自に考えたのかは不明だとしても、ヨーロッパでもおなじみの、繁殖期につがいで大きな巣を作りに渡ってくる象徴的な鳥のイメージが、まずそこにあるのです。

2つの別々の意味なのではなく、大もとではつながっている、もっといえば、本来は切り離せないほど密接につながっているのです。

ですから、「結婚や出産や子育てや、創作物の創造や新しいアイデアを生み出すことなどと、まったく関係のない具体的なこと」を占っている時に限って、枝葉の先の意味である「移住」だけを切り離して用いてもいいのです。それが真相だったのです。

そうでない大きなことを占っているのなら、どんな占いであっても、「こうのとり」は、自己の生産的な活動や、他者を育成する活動や、協力・共同生活などのために、新天地や新しい生活スタイルや人生のステージを求めて旅立つ(これも時には精神的な変革を示す場合もある)、としてまずは解釈するべきなのです。

具体的な解釈でいえば、仕事のためだけに引っ越すことを考えていた場合でも、「こうのとり」が出たら、確かに引っ越しを思いつくだけの転機であることは確かです。でも、単純に「うん、引っ越せばいいんじゃない?」ではなくて、自分の心の安らぎ、健康、幸福についてちゃんと考えてみるべきです。
そこで、明らかに「まずは仕事のため」というコンビネーションがあれば、その時初めてストレートに「Go ahead !」と絞り込めるということです。

「クローバー」もちゃんと掘り下げると出てくる出てくる

明らかに「仕事のため」とは思わせてくれない、特に初心者にはつかみどころのない「クローバー」が出たら?

仕事にもプライベートにも当てはまる「クローバー」なので、「こうのとり」のカードも、ニュートラルに、根本の意味からスタートします。仕事のための引っ越しと決めつけず、現状で、何が自分にとって「生産的か」を考えます。

「クローバー」は、横に出たカードの本質的な意味に、幸運の要素を加味してくれます。そして、それだけでは終わりません。

「クローバー」に、もの足りない感じがするのは、このカードが「幸運以外に特に目立ったポテンシャルがない」からです。さっき、例えで書いた「仕事のプロジェクトのメンバー」の話を思い出してください。

マイナス要素もないけど、強力な助っ人でもない、ただ明るい人。それが「クローバー」です。選択肢の占いでこのカードを単体で読むなら、「指輪」や「鍵」や「太陽」などの運命的に強力なカードにまず勝てません。どちらかというと空気みたいなカードです。

そして、その「空気みたい」なところが「クローバー」の本質でもあります。空気みたいな、幻想みたいな、心の支えとしての「幸運のお守り」を手にした時、どういう効果があるのか。と考えると、具体的なイメージが見えてくるはずです。

「幸運のお守り」は、よくいえば、時には奇跡すら起こしてくれます。それは本人の意志が高まったから、能力や気力体力がマックスになって、奇跡が起こるのです。

「お守り」自体は、物理的には何もしていません。四葉のクローバーを見つけたという事実は、お金にも換算できませんし、栄養にも薬にもなりませんし、資格も身分もスキルも与えてくれません。

実質的なメリットがほとんどないのです。その代わり、失うものもありません。失うものがないから、迷いもありません。本質だけが問題で、枝葉はどうでもいいからです。欲しければ貰えば良いし、邪魔なら捨てればいい、それが「枝葉末節」の身軽さであり、身軽さが、最大のメリットなのです。

こうして「クローバー」の根本の性質を掘り下げることで、「もの足りない」という感覚にも一理あったとわかります。
「もの足りないけれど、足りなくもない」
ということが、力強いメッセージとして響いてきませんか?

「クローバー」が出たということは、横のカードやほかのカードの解釈に対して、

  • 「付け加えることはない」
  • 「ほかに新たな問題もない」
  • 「(ほかのカードや状況を考えて)結論が出たなら、行動のチャンスだよ」

という読み方ができるわけです。

今回の例でいえば、「こうのとり」の1枚の本質と、本人の抱える人生の本質に立ち返って答えが出たなら、それを邪魔するものはないから行動してOKだよ、という解釈に落ち着けます。

「こうのとり」の、一見すると別々の2つの意味で迷いそうなところを、まずは2つの意味が派生した大もとの価値観に戻って考えました。

そして、「クローバー」のような、良さそうだけど具体的に方向性が見えないカードが一緒に出た場合、余計に迷わされることもあるかもしれません。
そんな時も、やはり「クローバー」の身軽さに着目して、余計な枝葉を心配しないで幹で考えればそれでOK、と考えることで、ほかのカードにはない「解釈の絞り込み」ができました。

1枚のカードについて2つの意味で迷ったら、どちらかの意味を強めるコンビネーションカードやシチュエーションを参考にはしつつも、「本当は1つのシンボルだった」ことを必ず思い出してください。

ルノルマンカード占いの最大の強みは、象徴がシンプルであることなのですから。

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